D.C.Ⅱ SS 暑中お見舞いSS その１
ガリガリガリガリ。
「義之、早く～」
「義之君、頑張って～」
ガリガリガリガリ。
「杏ちゃんはシロップ、どれにする？」
「私はレモンかな」
「私はイチゴミルクにしようっと。茜は？」
ガリガリガリガリ。
「あのー、俺の分も用意して欲しいんですが」
突如押しかけてきた雪月花の3人に無理やりカキ氷を作らされている俺。
ご丁寧にカキ氷機とシロップ、ロックアイスまで持参である。
何のために俺の家に来たか、といえばこのような力仕事要因らしい。
「大丈夫だよ。義之の分もちゃんと作ってあげるから」
そのメインの氷を削っているのが俺なのは気のせいですか、小恋さん。
「義之君はシロップ、どれにする？」
「任せる」
実際のところ、カキ氷機と氷を渡されただけなので、シロップの種類が
何があるか分かってない。
「男なら練乳で良いんじゃないかしら」
「杏ちゃん、その心は？」
「イチゴをかけたら初物ゲットっぽい」
「うわ、杏ちゃんオトナ～」
「え？私、いちごみるく……」
「うわ、小恋ちゃんえろ～い」
アホな会話が繰り広げられる中、俺はせっせと氷を削る。
10分ほどで4人分のカキ氷が出来上がる。
「義之、お疲れさま～」
ねぎらってくれるのは小恋くらいで、あとの二人はすでにカキ氷を口にしていた。
「あ、義之君。お疲れ様。お先にいただいちゃってま～す」
「お先」
二人に遠慮という言葉を教えてやりたいくらいだ。
俺も卓に付くと早速、カキ氷に手を伸ばす。
「で、誰が最初にウチでカキ氷なんて言い出したんだ」
結局、杏に用意されたイチゴミルクを食べながら、3人に聞く。
「商店街で『カキ氷が食べたい』って言い出したのは茜だったわ」
杏が茜を指差した。
「うん、そうね。だって暑かったんだもん」
「それで、私の家にカキ氷機あるよ、って言ったの」
「そうそう、それでシロップと氷を買って小恋ちゃん家に向かったんだけど」
今度は茜が小恋を指差した。
「杏が『せっかくだから義之でも誘ったら』って言い出したんだっけ？」
小恋は遠慮気味に杏を指差す。
「えぇ。義之ならカキ氷、喜んで作ってくれそうだし」
そして杏が俺を指差した。
「で、俺がカキ氷を喜んで作った、と」
俺は自分で自分を指差しながら、ため息をついた。
「「「正解」」」
三人とも笑顔。小恋は苦笑といったところだが。
「でも美味しいでしょ」
「まぁな」
してやったり顔の杏にちょっと不満が残ったが、それを差し引いても
おつりが来るかもしれない。
夏休みが始まってすぐの、そんな一日。
～あとがき～
ちょっとセリフが多めでごめんなさい。情景描写のフォローが足らないかも。
話し振りから、どのキャラがしゃべってるか推測してくれると助かります。
そろそろ梅雨明けで、本格的な夏がやってくるようなので、暑中見舞いです。
「初物ゲット」っていうセリフ、気に入っちゃった（笑）
2006.07.26