D.C.Ⅱ SS 渉へのお詫びSS
「渉君、大丈夫？」
あぁ、なんか優しい声が聞こえる。
「渉君、バレンタインのチョコなんだけど」
そっか、バレンタインだったな、今日は。
朝から原因不明の腹痛に悩まされている俺に、誰かがチョコを
渡そうとしてくれている。
あはは、なんて良い夢なんだろう。
この声は……そうか、月島が俺にチョコを渡そうとしてくれてるんだな。
「って何ぃぃぃぃ！」
「きゃっ！」
俺が遠い世界から戻ってくると、すぐ傍に月島がいた。
あれ？ここは？
きょろきょろと辺りを見回す。いつもの教室の休み時間の風景。
「渉君、急に起き上がったりして平気なの？」
と、俺の事を心配してくれる月島がいる。
「あ、あぁ。なんとか」
まだ不安な部分も残るが、月島に心配させるわけにはいかない。
男には、ダメでもそうと言えない時がある。
「そう？あ、これ。バレンタインチョコ」
そういって綺麗にラッピングされた小箱を渡してくれる月島。
これはまだ夢なんじゃないだろうか。
俺は左手で自分の頬をつねってみる。
「痛い……夢じゃない」
確かに痛かった。
もう一度、右手にある小箱に目を落とす。確かにそれは存在している。
「あ、ありがとう」
「うん。あまり調子よくなかったら無理しちゃダメだよ」
うまい言葉が見つからず、ありがとうとしか言えなかった。
月島の笑顔がまぶしかった。
～あとがき
１～
なんか渉の不遇が目に付きすぎたので補完しておきます。
学園が終わり家に帰ると今日受け取ったチョコを取り出した。
月島と茜からもらったチョコはまだ開封していない。
とりあえず先に杏からもらったチョコを食べてしまおう。
ブランデー入りで美味かったしな。
「やっぱ美味ぇ」
その味を堪能した。
～あとがき
２～
でも結局、渉はそういう役回りだと思ってますから。
幸せ気分のまま終わらせるほど俺も優しくありません。
ある意味これもれっきとした補完（笑）
杏のチョコを食べ終わるまでその悲劇は続きます。
2007.02.14