D.C.Ⅱ SS クリスマスっぽいの Vol.2.5
「じゃぁ悪いけど小恋、入れてくれるか？」
杏と茜の瞳がきらんと光った気がするが無視する方向で。
「う、うん。どうぞ……」
だから頬を赤らめるな、2人の思うつぼだっつーの。
「じゃぁこれからは分かれて行動しようか。1時間したらまたここに集合ね」
茜がそう提案し、杏が頷く。
二人の意図が見え見えすぎで嫌だ。
「ちょっと、二人とも。一緒に行こうよ～」
駄々をこねる小恋。
「だってぇ。ねー、杏ちゃん？」
「そうね、私も馬に蹴られたくないし」
なんか言いたい放題だな、小恋はまったく気付いてないが。
「それに別々に行動した方が合理的でしょ」
すげぇ、本音を先に言ったくせに無理やり話題をすりかえた。
こいつら俺たちを二人にする気満々でやがる。
「ったく、小恋。さっさと買い物行くぞ！」
周囲の目が気になり始めた俺は小恋を促すと店を出ようとした。
「義之。待ってよ」
が、俺の足が止まる。
すぐ後ろに付いてきた小恋が思い切りぶつかった。
「いたー。ちょっと義之！急に止まらないでよ」
ぶつかった額を押さえつつ小恋。
「で、俺たちは何を買えばいいんだ？」
一番重要なことを聞いてないじゃないか。
ぽむ、と茜は手を叩く。
「ごめん、忘れてたよ」
本末転倒、っていう言葉を教えてやりたい。
そんなこんなで、杏と茜の生暖かい視線に送られ小恋と買い物に向かう。
俺が右側で小恋が左側。傘をさしているのは小恋だ。
少し身長差があるので歩くスピードはとてもゆっくり。
「で、何を買いに行くんだ？」
小さい傘なので横を向くとすぐそばに小恋の顔がある。
「えーと……」
小恋は杏が書いたメモに視線を落としているので
この距離に気付いていない。
なんか一方的に緊張してるのは悔しいな。
「2つ先の信号の角にあるお店で……」
顔を上げた小恋の言葉が止まる。
「……」
小恋の顔が徐々に頬が赤くなっているのが分かる。
んで、パニクった。
「こら、傘を振り回すな！濡れる濡れる」
「で、でもでもぉ、義之の顔近い～」
俺を避けるように数歩下がる小恋。
「傘が小さいんだから当たり前だろうが。だー。冷てぇ」
俺が声を上げると小恋はしゅんとなってしまった。
まずい、言い過ぎたか。
「いや、その、なんだ。とにかく、落ち着いてくれれば、それでいい」
気まずい雰囲気の中、どうにか言葉を繋ぐ。
「うー、でもぉ」
お願いです、そんな目で見ないでください小恋さん。
「やれやれ、だね。杏ちゃん」
「ま、いつものことでしょ」
どこかでそんなことを呟いていた杏と茜がいたことを俺たちは知らない。
～あとがき～
ちょっと王道テイストでお送りしました。
それと小恋フラグが立ちました（笑）
いや、まだまだ分かりませんよ？
次回はクリスマス直前。
2006.12.18