D.C.Ⅱ SS 体育祭SS その１
体育祭 朝
ドンドンドン。
風見学園の体育祭を知らせる花火が数発打ち上げられた。
今日はこの風見学園の体育祭。
こういうイベントには俺たちの間では暗黙の了解として
負けたヤツは他の連中に何か奢る
というものがある。
今年のクラス分けは見事にばらばら。
B組の渉が少ない程度で、うまい具合に分かれていた。
「杉並、今日はどういう作戦で行く？」
体操着に着替え終わった俺と杉並は、今日の作戦会議をしていた。
「雪村杏率いるC組のスペックは高くないのだが、B組が危険だな」
杉並の手元にはうちのクラスのほかにB組、C組の全生徒の体育の
成績が載っている冊子。
どこで調達したかは敢えて聞くまい。
B組には渉が在籍している。アイツ自身はたいしたことないが
白河さんが厄介だな。
男子生徒の士気を高める危険な存在になるに違いない。
集団心理とかは想像以上に危険なのだ。
「とりあえずB組から潰しにかかるのが賢明だろう」
「そうだな、マークしておく」
俺と杉並は静かに頷きあった。
「音姫、あれ捕まえていい？絶対何かたくらんでるよ？」
「うーん、杉並君はともかく、弟くんの勇士を見たいから
もう少し泳がせておいて、まゆき」
「はいはい、今日も『弟くん』ね。熱心だこと」
もちろん二人の存在に気付いていない訳がない俺たちだが
とりあえずしばらくは見逃して貰えそうだ。
「ふぅん、たいしたものね」
背後から声がした。俺と杉並はそっちに振り向く。
「杏、いつの間に」
「今来たとこ。茜も一緒よ」
「やほ～」
杏の少し後ろで茜が手を振っていた。
「B組に仕掛けるの？」
「あぁ、とりあえずその方向だ」
やっぱり最初から聞いてたんじゃねーか。
「そう。じゃ私たちもそれに加わろうかしら」
と、杏から思わぬ提案。
「それは構わないが、裏切らない保証はないぞ」
「その時はその時よ。それに義之はそんなことしないって信じてるわ」
「よく言う」
真顔で話す杏はどこまで本気か、その表情からは読み取れない。
「うわ、お前らなに相談してんだよ！」
ちょうどそこに渉の大声が聞こえる。
渉は走って俺たちの間に割って入ってきた。
「悪いな、B組潰しの相談だ」
「なにぃぃ～～～！？」
「安らかに眠りなさい」
「くそ、見てろよB組の底力！」
捨てゼリフを残して渉は走り去った。
「なんだかんだでB組は結束力ありそうだから、侮れないわね」
「あぁ、特に男子はな」
白河さんは学園屈指の人気者だ。一応、渉ともつながりがある人物。
渉は渉で、独自のコネクションを最大限活用してくるだろう。
「とりあえず午前中の様子を見て、午後を決めましょう」
「そうだな。んじゃ行くか」
俺たちは自分のクラスの席へと向かった。
～あとがき１～
体育祭、開始です。D.C.Ⅱのメンバーがいるってことは、波乱万丈。
次回のアップは午前の部なので10時頃です。
ごめんなさい、美夏は寝てるので出て来れません（汗）
2006.10.17 AM 9:14