D.C.U SS 体育祭SS その3

体育祭 昼休み

「おとうとく〜ん、一緒にお弁当たべよ〜」
とても重そうな荷物を持った音姉がうちのクラスにやってきた。
突き刺さる視線が痛すぎる。
「うおぉぉ。音姫先輩、まぶしすぎるぜ〜!!」
体操着姿の音姉を見て身悶えする渉に一発打ち込むと
音姉に詰め寄った。
「音姉、恥ずかしいからやめてくれ」
「えぇ?私は全然大丈夫だよ」
不満そうな声を上げる音姉。
俺はため息をつくが、今に始まったことじゃないので諦める。
「他の連中も一緒でいい?」
「うん、皆で食べた方が楽しいしね」
音姉の後ろにはまゆきさんと由夢も一緒についてきていた。

校庭の一角を大きく陣取り、レジャーシートを広げる。
10人座っても大丈夫、な巨大レジャーシートは生徒会提供だ。
非常にありがたい。

雪月花3人娘は揃って手作り弁当を用意してきていた。
今年は小恋だけクラスが違ってしまったが、仲の良さは相変わらずだ。
「義之。当たりとはずれ、どっちが食べたい?」
「どういう2択だ、おい」
杏が差し出したタッパは二つ。両方とも良い色に焼き上がった玉子焼き。
どちらも特に見た目には問題がない。
「で、その基準は?」
「午後の競技に出られるかどうか」
「めちゃめちゃ危険じゃねーか、それ!」
「冗談よ。どっちかが卵の殻が入っちゃったみたいなの」
別に殻が入った程度では何てことないが、知らずに食べるとけっこう
ショックなんだよな、あれ。
「そういう役回りは俺じゃない。渉、パス」
「んあ?食わねーのか?んじゃ貰うぞ」
渉は2つのうち、片方を手にとって口に放り込んだ。
直後、渉が顔をしかめたのは言うまでもなく。
2択で外すところなんかさすがだ、渉。
俺は安全な方の玉子焼きを受け取り、安全にいただいた。


「で、由夢。なんでお前も一緒なんだ?」
音姉とまゆきさんがセットでやってくるのは分かるが、由夢はどうなんだろう。
「別にいいじゃないですか」
ぷい、とそっぽを向く由夢。
由夢に弁当が作れるはずもなく、音姉お手製のお弁当をつついている。
「クラスに友達は?」
「いますけど、お姉ちゃんに誘われたからこっちを優先したんです」
「友達甲斐のないヤツ」
「余計なお世話です!」
火に油を注いだ気もしたが、由夢も俺たちといた方が話しやすいのかもしれない。


「とりあえず今は休戦ね」
「まぁ、仕方ないだろう」
ピリピリした雰囲気を出しているのは杉並とまゆきさん。
さすがに昼食時までドタバタするほど、二人も子供ではないらしい。
「ときに杉並。あなた、昼食は?」
「非公式新聞部謹製、スペシャル幕の内弁当だ」
無駄に豪華な弁当を見せびらかす。
うわ、あれ伊勢エビじゃねーか?
「部費で弁当作るなコラ」
「部費をどう使おうと部の勝手だろう」
「休戦協定、破棄していい?」
「望むところだ」
休戦協定もわずか数分で破綻しそうな勢いだった。
「まゆき、杉並君、静かにしなさい!」
「「はい」」
音姉が一喝。静かになった。
「弟くん。はい、あ〜ん♪」
一転、笑顔で俺にウインナーを差し出してくる音姉。
見てみぬ振りをしてくれている雪月花とは対照的に突き刺さる
由夢の殺気が怖かった。

和気藹々。


〜あとがき3〜
はい、あ〜ん♪と言わせたかっただけです、すいません。
次回は午後の部前半なので14時くらいにアップします。
音姉や由夢も体育祭に参加してますが、メインは義之たちの
学年なので、描写はありません。悪しからず。


2006.10.17 AM 12:01

D.C.U SS一覧に戻る
TOPに戻る