月は東に日は西にSS・おはよう保奈美ちゃん
PiPiPiPi・・・・。
目覚ましの音が鳴っています。
やや蒸し暑い6月の空気の中、保奈美ちゃんのお目覚めです。
寝起きのいい保奈美ちゃんはベッドに未練を残すことなく起き上がります。
そして早速着替え。
昨日まで着ていた冬服と違い、涼しげな白い夏服に着替えます。
そう、今日から衣替えです。
上着に首を通して、襟から長い髪を出します。
まだ結っていない髪がフワっと広がります。その仕草がたまらなくキュートです。
歯を磨いて、顔を洗って。どこでも見かける朝の風景。
一通り終わったら、台所に向かいます。
制服の上からエプロンをつけて、先に起きていたお母さんのお手伝い。
といっても、そこはさすが料理部部長。お手伝いというよりも、主戦力です。
焼き魚、お味噌汁など。今朝の藤枝家は和食のようです。
「いただきます」
行儀良く手を合わせ朝食の開始です。
ちょうどやっていた天気予報では、今日は快晴。梅雨の中晴れらしいです。
「ごちそうさま」
ダイエットという言葉とは無縁の保奈美ちゃんは、朝食をしっかり食べ食器の後片付け。
洗いものをする動きが実に滑らかです。いいお嫁さんになれますね。
夏服のせいでしょうか、その姿はいｔもより軽やかに見えます。
洗い物が終わるとエプロンをはずして自室に戻ります。
鏡台の前に座って髪のお手入れ。女の娘にとっては朝の大事な時間です。
右側の髪から一房つまんで三つ編みにしていきます。
パパっと結び終えると今度は反対側。
もう何年も繰り返されてきた朝のひと時。
最後に両方の三つ編みを後ろで一つにまとめて完了です。
まだまだ始業まで時間はありますが、保奈美ちゃんは家を出なければなりません。
ご存知、久住君を起こしに行かなければならないのです。
「行って来ます」
両親に挨拶し自宅を後にします。向かうのはもちろん渋垣家。
照りつける太陽に目を細めながら、渋垣家までの短い道のりを歩きます。
「おはようございます」
勝手知ったるなんとやら。渋垣家にお邪魔します。
出迎えてくれた瑛里さんに挨拶をして、リビングにいた源三さんと茉理ちゃんにもご挨拶。
トントンと階段を上がっていくと、一つの扉の前で立ち止まります。
ノックもなしにそのお部屋に侵入。さすが幼馴染みです。
ベッドには気持ちよさそうに眠っている男の子が一人。
「なおくん、朝だよ。起きて」
今日も変わらない一日がゆっくりと幕を開けました。
〜あとがき〜
幼馴染み。いいですなぁ。だって、毎朝起こしに来てくれるんですよ！？
保奈美ちゃんはしっかりしてますから、朝にも強いんでしょうね
いい奥さんになれそうです。