秋山文緒台詞集・7月
7月30日
プール：水泳大会中
【直樹】「いけーっ！」
【保奈美】「もう少しー」
【弘司】「あと20メートルっ」
【文緒】「抜かれるなーっ」
……そして結局、うちのクラスは最下位争い。
9月1日
教室：ホームルーム前（美琴ルート）
【直樹】「まったく、美琴はドジだなぁ」
【直樹】「『ドジ』なんて言葉、実際に使ったの初めてだってくらいドジだ」
【美琴】「ドジドジ言わないでよう」
【文緒】「みんな聞いてーっ」
教壇を見ると、委員長が教卓をバンバン叩いている。
【文緒】「深野先生の宿題だけ、今集めまーす」
教室中から、「うぇー」という押し潰された蛙のような悲鳴が上がる。
9月1日
教室：ホームルーム前（保奈美ルート）
始業式はサクっと終わり、教壇でホームルームを待っていると、委員長が教壇に立った。
【文緒】「みんな、ちゅうもーく！」
【文緒】「深野先生の宿題だけ、今集めて持って来い、だそうでーす」
教室中から、「うはぁ」という肺の空気を吐き出すような悲鳴が上がる。
9月10日
教室：時間不明（保奈美ルート）
別に隠してもいないし、毎日屋上で弁当を食べてれば、自然と噂も広まる。
しかし、どちらかというと
【弘司】「遅すぎるくらい、じゃないかな」
とか、
【文緒】「あれ、とっくに付き合ってるんだと思ってた」
なんて言われることの方が多い。
9月11日
教室：放課後（美琴ルート）
結先生の計らいで、放課後の2-B教室も使えることになったので、具体的な作業も始まる。
【文緒】「へえ、天文部もちゃんと活動してるのね」
【直樹】「部室獲得……いや、夢は大きく屋上に天文観測ドームだからな」
【美琴】「あははっ、直樹も調子いいねー」
【弘司】「部室が獲得できても、3人きりになると僕が居辛くなっちゃうからね」
【弘司】「だから新入部員獲得が目標」
【文緒】「広瀬君も大変だ」
【文緒】「……ま、でもこの二人なら心配しなくても良さそうだけど」
【美琴】「そ、そうかな？」
……。
9月17日
廊下：学園祭準備中（美琴ルート）
【直樹】「よう委員長。クラスの方は順調か？」
【文緒】「料理部とかけもちなのに、藤枝さんが大活躍」
【文緒】「天文部の方々にも見習ってほしいくらいよ」
【直樹】「部員が3人しかいないんでね。人数がもっと沢山いりゃそっちも手伝えたけど」
【文緒】「ま、結先生がこっちも見てくれてるだけでも助かるわ」
【直樹】「……そうだ、暗幕ってどこかに余ってないかな」
【文緒】「体育館のステージ脇にあったと思うけど、少し古いかもね」
【直樹】「助かるっ」
9月19日
温室：蓮見祭中（ちひろルート）
【文緒】「ふぅん……意外ね」
【直樹】「へいへい。どうせ俺には似合いませんよ」
【文緒】「褒めたつもりなんだけど」
【文緒】「……ま、クラスの手伝いをしなかったのも許せるレベルかな」
……。
とまあ、千客万来。
9月23日
駅前：昼間（保奈美ルート）
着替えて二人で駅前に遊びに出る。
と、無効から歩いてくる委員長とばったり出会ってしまった。
【直樹】「よう、委員長」
【文緒】「あ、久住君、昨日の夜学園内で大暴れしたって本当？」
【直樹】「何じゃそりゃ」
【文緒】「温室のガラスが割られてるって、恭子先生がプンスカしてたよ」
【直樹】「はあ？」
【文緒】「どうもその時間に久住君を見たって人がいるんだってさ」
【保奈美】「それって本当になおくんなの？」
【文緒】「詳しくは……ごめん、分からないよ」
【直樹】「「ま、いいや。サンキュー委員長」
【文緒】「学園の外でその呼び名は……」
後ろで委員長が何か言ってる。
でも、俺と保奈美は目を合わせると、そのまま学園へと急いだ。
9月24日
教室：時間不明（美琴ルート）
画鋲作戦をはじめ、いくつかのやり方で自分が夜中にうろうろしているか確かめようとした。
が、結局夜中に自分が動き回っているとは思えない。
……しかし、寝不足の感覚だけは消えなかった。
【文緒】「久住君、昨日の夜に学園の校門あたりにいたでしょ」
【文緒】「あんな時間に、何やってたの？」
【直樹】「またかよ」
【文緒】「？」
【直樹】「身に覚えがないんだ。まったく」
【直樹】「……ってかさ、それ、本当に俺？」
【文緒】眼鏡をかけてると、私の視力は両目とも1.5なんだけど」
【文緒】「勉強してて、夜食を買いにコンビニへ行こうとしてた時に、見かけたんだ」
【直樹】「でも夜中だろ。暗いし」
【文緒】「絶対に久住君だったと思うんだけどなぁ」
【文緒】「ま、いいけど。声を掛けても返事してくれなかったから、ちょっとね」
委員長はそう言うと自分の席に戻って行く。
9月30日
教室：時間不明（恭子先生ルート）
【直樹】「なあ美琴」
【美琴】「どうしたの、何か暗い顔してるよー」
【弘司】「どうした？」
【保奈美】「なおくん、大丈夫？」
【文緒】「珍しいわね」
【直樹】「……ワラワラ集まりやがって」
【美琴】「心配してるのに、そんな言い方はないよねぇ」
【保奈美】「ねぇ」
【弘司】「ねぇ」
【文緒】「うん」
【直樹】「……あれだ、スランプになったことある人っている？」
【美琴】「スランプ？」
【保奈美】「私は……ないかなぁ」
【弘司】「俺は……」
【直樹】「天文部には関係ないか」
【弘司】「おいおい、何だって真剣に取り組めば、必ず壁にブチ当たるもんだぜ」
【直樹】「当たったのか？」
【弘司】「どうしてもいい写真が取れなかったことがある」
【直樹】「そっか、写真ならありそうだ」
【文緒】「年に1回はあるわね」
【直樹】「おっ、さすが運動部」
【文緒】「久住君もスランプなの？」
【直樹】「ん〜……まあ、否定はしない」
【直樹】「で、脱出のコツみたいのがあったら、聞かせてほしいな、と」
【文緒】「そうねぇ、……色々聞くけれど……」
【文緒】「大きく分けて3つかしら、『他のことをする』『それでも続ける』『神の声』」
【弘司】「神？」
【直樹】「解説がないと分からんぞ」
【文緒】「『他のことをする』はそのまんま。まったく違うことをしてみるの、旅行に行ったり、カラオケに行ったり」
【保奈美】「内容は人それぞれ？」
【文緒】「そうね。あと『それでも続ける』は、時間が解決してくれると思って続けるの。写真なら写真、弓道なら弓道」
【直樹】「へぇ」
【文緒】「最後は期待してできるものじゃないわ。友人や家族の何気ない一言とか、街を歩いていたら突然とか……」
【美琴】「なっるほど、だから『神の声』」
【文緒】「実際は全部混じっていると思うな」
【文緒】「友達と旅行に行ったら、旅行先での友人の一言が……なんて」
【直樹】「何となく、参考になった」
【文緒】「あ、そうそう。一番大切なのは、スランプを抜ければ必ず上手くいくって信じることだと思うわ」
【文緒】「実際、スランプを抜けた人は上手くなってるし……あ、弓道の話だけど」
【美琴】「で、久住君はなんのスランプなの？」
【直樹】「いや、俺じゃなくって知り合いなんだ」
【文緒】「ふうん、なら聞かないけど」
【直樹】「悪いな、せっかく話してもらったのに」
【文緒】「いえいえ、代わりに何かもらうような話でも無いわ」
カラーン、カラーン……カラーン…………
【美琴】「あ、時間だ」
【直樹】「悪かったな」