秋山文緒SS番外編文緒inロータス
第10話 そして伝説へ
チュンチュンチュン・・・。
窓から差し込む光を受けて私は目を覚ました。
えっと、何がどうなってたんだっけ？
はっと思い出して起き上がり、自分の姿を確認する。
「も、戻ってる」
確かにいつもと変わらない自分の体がそこにあった。
すらりと伸びた手足も、まだ発展途上な胸も、たしかに自分のものである。
「時間は・・・」
日付も一緒に表示する時計で日時を確認する。
たしかに、私がロータスになった日の朝だった。
「ホントに元に戻ったんだ」
安堵感とか疲れとか、そのへんがごっちゃになって襲い掛かってきた。
私は思わずベッドに突っ伏した。
「はぁ、良かった」
思わず笑みがこぼれた。
簡単に朝食を済ませ、制服に着替える。
ひんやりとした制服が素肌に気持ち良い。
なぜかじっとしていられなくて、いつもより早い時間に私は寮を出た。
寮の玄関を出たところで、私は立ち止まる。
そういえば、ロータスはどうしているだろう。
気になった私は中庭に足を運んだ。
まだ寝ていたロータスだが、私の足音を聞きつけると、飛び上がるように起き上がった。
「わうわうわう！」
私に飛びかかろうとしているが、鎖があるため届かない。
「もう、ちょっとは落ち着きなさい」
飛び散った毛が制服につかないように気を払いながらロータスに近づく。
頭を撫でてやると、ロータスはおとなしくなった。
しゃがんでロータスと目線を合わせる。
「あなたと入れ替わってたのよ？覚えてる？」
「わう！」
私の問いかけに元気よく答えるロータス。
本当にわかってるのか微妙なところだ。
「ま、犬の言葉はわからないしね」
頭を撫でているとロータスは『もっともっと』と言わんばかりに、ごろんと腹を見せる。
服従のポーズだが、構って欲しい時もこうするらしい。
「はいはい、少しだけよ」
しばらくロータスと戯れた後、私は学園に向かった。
中庭を離れる時、ロータスが大きく一声鳴いた。
『いってらっしゃい』と言っているように。
後日、天文席で結先生が特大のプリンを食べているのを目にした。
デラックス手作りプリン、存在したんだ・・・。
あとがき
オチは結先生でした。