秋山文緒SS番外編文緒inロータス
第5話 猫型風結先生
「んぅ？誰ですか？」
もぞもぞと状態を起こした私、というか私の本体。
見間違いようもない、本来の私だ。って、なんか言い回しが変かも。
「あれ？何でわたしがそこに？あれあれ？」
気が動転しているようだった。自分と同じ格好というか、自分が目の前でおろおろしている。
見ていてすごく不思議な気分。
「えっと、あなたはロータスさんですか？」
結先生が諭すように問い掛ける。
「ええ、そうですけど。って、なんでわたしがそこにいるんですか？どうなってるの？」
状況が把握できないらしく落ち着きがない。ロータスってこういう性格だったんだ。
「えっと、かくかくしかじかで・・・」
結先生はことの経緯を簡単に説明していった。
説明を聞いている間、ロータスは私の方を何度も盗み見ていた気がする。
「事情はだいたい理解しました。でも、なんだってこんなことに」
落ち着いたロータスは現在の格好が珍しいのか、手を開いたり閉じたり、腕を動かしている。
落ち着いてないじゃん。
「わうわうわう！」
（私だって知りたいよ）
「ん？何、秋山さん？」
そうか、結先生とは普通に話してたけど、本来なら言葉は通じないんだっけ。
「私だって知りたいって言ってますよ」
結先生が通訳を務める。
「えっと、私が通訳するのも面倒ですから・・・ちょっと待っててくだっさいね」
結先生は周りを見渡すと、ある1点を見つめて歩いていった。
そこにあったのは、冷蔵庫。
躊躇うことなく、扉を開け中を物色する結先生。
「わうわうわう！！」
（ちょっと、何やってるんですか！）
駆け寄って前足で結先生を小突く。
「いえ、プリンがないかと」
まじめな顔で冷蔵庫を物色している結先生。
「わうわう！わうわう」
（プリンを食べてる場合じゃないでしょ）
「通訳に必要なんだから仕方ないんです」
「わうわう？」
（そうなんですか？）
「そうなんです！」
ぷぅと頬を膨らませる結先生。どうやら本気らしい。
「プリンはありませんけど、ゼリーなら」
確か買い置きのゼリーがあったはず。おなかの調子を良くするとかなんとかの。
「むぅ、仕方ないですね。これで代用しましょう」
結先生は渋々といった表情でそのゼリーを手にとった。
ベッドに目をやると、ロータスがうつらうつらと舟をこいでいた。
まだ眠いらしい。
「じゃぁ、このこんにゃくゼリーに魔法をかけますので」
「わう？」
（魔法？）
「はい、魔法をかけたゼリーを食べると言葉が通じるはずです」
そういって結先生はマイスプーンを取り出すと、何かを口ずさみ始めた。
「ぷっちんぷりりん。ぷるぷるあ・ら〜・も〜ど。ぷりんのかみよ。そのおおいなるちからをこのばにしめしたまえー！」
言葉と同時にスプーンをゼリーに向かって振り下ろす結先生。
その瞬間、スプーンがキラっと光った気がした。
「・・・」
「・・・」
呆気に取られている私とロータス。
一方、『決まった』みたいな感じの結先生。
「これを食べれば言葉が通じるはずです」
自信満々に言う結先生。これでもかってくらいの笑顔だった。
「その名も『翻訳こん○ゃくゼリー』！」
魔法をかけたゼリーを右手で高く掲げる結先生。
某ネコミミ猫型ロボットのまんまパクリですね・・・。
「はい、どうぞ」
ささっとスプーンをしまうと結先生は2つのゼリーを私とロータスに1つずつ手渡した。
「まぁ、ダメもとだし・・・」
「わうーん」
（そうよね・・・）
ロータスのほうもあまり信用はしていないみたい。
私とロータスは顔を見合わせるとゼリーを口にした。
あとがき
犬（ロータス）がいて、猫（結先生）がいるとすると、委員長は・・・？